移動式架設昇降吊り足場工法(シャトルX)
東鉄工業株式会社
湘栄産業株式会社
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技術の概要
鉄道上空に建設されたこ線人道橋(以下、こ線橋)の修繕工事は、桁下と架空線の離隔が無い箇所や、キ電停止の間合い等の条件で一般的な吊り足場の設置が困難であることが多く、軌陸式高所作業車による施工が一般的でした。また、軌陸式高所作業車による施工は、線路内において他の工事との競合調整を多く必要とすることから工程管理面での課題がありました。そこで、吊り足場の移動設備と昇降設備を併用した移動式架設昇降吊り足場を開発しました。これにより、載線場における順番待ちや、他の工事の保守用車群の通過時に待避する必要が無く、効率的かつ安全に施工を行うことが可能となりました。日中こ線橋の第三者利用が可能なこの工法を適用することで、安全性・施工性・経済性が向上します。
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適用箇所
鉄道上空に建設されたこ線橋の修繕工事において、他工事との競合が多い箇所
こ線橋下面に架空線が添架されていている箇所
架空線との離隔を取ることが困難な箇所
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特徴及び優位性
- 施工性
足場の構成は「下部移動フレーム」、「上部昇降フレーム」、「水平移動フレーム」と3つの部材に分けることで現地での組み立てを効率化しました。また、上部昇降フレームの昇降は油圧により行い、水平移動フレームの開閉及び下部移動フレームの移動については人力にて行うことで、操作を簡略化することが可能となりました。
- 工程
施工箇所と載線場が遠く、線路閉鎖とキ電停止の着手間合いが短い場合において、1日当たりの施工時間をより多く確保することが可能です。また、軌陸車を使用しないことや足場と保守用車との離隔の確保によって、他工事との競合調整が不要となり、載線場における順番待ちや、他工事の保守用車群の通過時に待避する必要が無く、連続した施工を実現し、工期短縮が可能となりました。
- 安全性
走行レールの上フランジを車輪が挟み込む構造にすることで、浮き上がり防止と脱落防止機能を付与しています。また、日中油圧装置の故障により作業床が建築限界内に支障しないよう、降下防止装置を設置することでフェールセーフ機能を付与しています。更に架空線の離隔範囲内の部材はFRPや木板による絶縁性能を付与しています。なお、当該足場をこ線橋のスパン中央部に載荷した状態での照査は、こ線橋の設計荷重を確認した上で検討する必要があります。
- 設計
設計は仮設構造物設計マニュアルに則り、風荷重w=2.0kN/m2・耐震設計における水平震度はkh=0.2で検討しています。
- 経済性
軌陸式高所作業車の運転手および保安要員(重機誘導員)が不要となること、更に連続した施工が可能となることからコストダウンが可能です。
- 施工性
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施工実績
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東北本線西川口・蕨間蕨跨線人道橋補修工事
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