鋼管拘束型鉄筋継手工法
JR東日本コンサルタンツ株式会社
鉄建建設株式会社
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技術の概要
高架橋等の柱の構築には、足場や鉄筋・型枠の組立、コンクリートの打込みや型枠の解体等の多くの作業が発生するため、これらの作業を削減し、工期短縮を図るためにプレキャスト工法の実績が増えてきている。多くの工法では機械式鉄筋継手を用いて鉄筋を接合するため、部材の製作精度や施工精度が要求される他、柱建込み後のグラウト注入等のあと作業が発生する。「鋼管拘束型鉄筋継手工法」は、製作誤差や施工誤差をある程度許容し、柱建込み後のグラウト注入作業を削減できる。図-1に示す基礎等と柱の接合を例にした主な施工手順は次の通りである。(1) 基礎等を構築する際に定着用の鉄筋と継手用の鋼管を設置する。(2) 柱を建て込む直前に、鋼管内にグラウトを充填する。(3) 柱から突出した鉄筋を鋼管内に挿入しながら柱を接合する。
本工法は、埋込み側と挿入側の鉄筋を同一円周上に互い違いに配置し、軸方向に重なった状態で繋ぐ工法である。たけ節鉄筋を用いて継手長さを20φ(φ:鉄筋直径)とした場合には、鉄筋の母材と同等以上の引張強度を有しており、この継手で接合した柱の変形性能は鉄道構造物等設計標準・同解説(コンクリート構造)で示される変形性能算定式が適用できることが確認されている。実験で確認できている範囲はD32(SD490)までであり、それより径または強度の大きい鉄筋を用いる場合は、引張試験や部材試験等で確認する必要がある。
図-1 基礎等と柱の接合例
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適用箇所
鉄道高架橋の基礎等と柱の接合
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特徴及び優位性
継手に使用する鋼管や充填するグラウト材に特殊な材料を使う必要が無い。
鋼管内のグラウトの充填状況を直接目視で全数確認できるため、施工の信頼性が高い。
鋼管と鉄筋には適度なあき(D32の場合25mm程度)があり、製作誤差や施工誤差を吸収できる。
事前に仮組みを行い、スペーサ等で調整することで柱の鉛直性を確保する。
PCa柱部材の建込み作業は約5分で完了する。
建込み後の継手部へのグラウト注入等のあと作業が必要無い。