小口径組杭壁体基礎工法
西日本旅客鉄道株式会社
大鉄工業株式会社
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技術の概要
鉄道営業線の盛土部地盤等における防音壁・防風壁の施工は、線路に近接する狭隘な施工環境となることが多くなっております。この基礎工事では、鋼管杭等を採用し線路閉鎖工事により重機を使用して施工する必要があり、安全面や生産性の問題を抱えております。そこで、電動工具を用いた人力で施工が可能な小口径回転圧入鋼管杭を用いた基礎工法を開発しました。小口径回転杭の(斜)組杭による簡易な基礎構造であり、高い水平抵抗力が得られ、狭隘な場所でも安全かつ効率的な施工が可能です。
参考文献
1)清水隆弘ら:小口径回転圧入鋼管杭を用いた盛土上の斜組杭の水平支持力性能,第72 回年次学術講演会,2017.9
2)清水隆弘ら:小口径回転圧入鋼管杭の引抜き支持力に関する一考察,第53 回地盤工学研究発表会,2018.7 -
適用箇所
盛土部、地平部等に設置する防音壁、防風壁等の壁体構造物の基礎
小口径回転圧入鋼管杭の打込みは、電動トルクレンチを使用した人力施工となります。
適用土質におけるN 値は、一般的には砂質土N=4~10 程度、粘性土N=2~15 程度となります。
人力施工のため、適用杭長は2m 程度となります。
礫や玉石、支障物(50mm 程度の大きさ)が連続的に混在し、地表面からこれらの撤去が困難な地盤等では施工は困難になります。
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特徴及び優位性
小口径回転圧入鋼管杭の(斜)組杭基礎であり、人力による簡易な施工で高い水平抵抗力を得ることができます。
防音壁等の施工では、人力で施工することにより建築限界を支障することなく、施工を行うことが可能です。また、線路側の杭の施工においても、地盤変状に伴う線路への影響を皆無とし、鉄道輸送に対する安全性の高い施工が可能です。
鋼管杭基礎(線路閉鎖工事)と比較して約40%の工期短縮が図れ、約30%のコストダウンが可能です。
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施工実績
- おおさか東線建設工事(JR 野江~放出)
盛土部防音壁基礎(杭長:2m 約850 本)
- 奈良線第2 期複線化工事(桃山~六地蔵間)
盛土部防音壁基礎(杭長:2m 約164 本)
- おおさか東線建設工事(JR 野江~放出)