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仕事の面白さ

日本交通技術株式会社 設計部 大河原 達二


最近、さすがと感じたドイツ国ケルン駅
ホームの美しい上屋:2005.6

ACT研究会では実に様々な新しい工法、技術が考案され実用化されておりますが、自分達で考え作り上げた技術が認められ、色々な現場で採用されることにより社会基盤整備の役にたっていくのを見るのは技術者冥利に尽き、技術者が自分の仕事を面白いと感じる時ではないでしょうか。

私達コンサルタントの人間は、開発された技術を利用させて頂く事は良くあるのですが、自ら新たな技術を開発したり、開発の手助けをする場面に接する機会はそれほど多くないように思います。
「それは、お前の創造力と技術力が貧困だからだ」と言われてしまえばそれまでですが、それでも心のどこかに「 画期的なアイデアを考案してみたい! 」という山っ気はあるようで、現場を見て知れば知る程、技術的な問題に遭遇する度に、正攻法の対処とは別に「 これどうにかなんないの、何か別にいい方法があるんじゃないの 」と密かに画期的なアイデアを模索していますが、なかなか良いアイデアは浮かばないものです。

その原因と思われるのは、設計屋の宿命なのか、どうしても既成の計算概念や示方書等の呪縛に囚われてしまう事にあるようです。既成の理論や計算で評価可能かという点に判断を置くあまり、結局貴重なアイデアを捨ててしまっている事も多いような気がします。

新しい技術とは既成の理論や計算手法からよりも、アイデアを裏付ける確認実験や、その結果から得る新たな知見や理論の積み重ねの中から、または新しい材料の開発などと競合しながら生まれてくるものではないでしょうか。

しかし我々の日常の多くは、日々の仕事に追われて技術開発に費やす時間も、実験で検証する費用も持てず、過去の事例に習い淡々と設計業務をこなしている事が大多数で、時折担当するアンダーピニングや特殊構造物の設計等が唯一アイデアの発揮できる仕事といった感じです。

日常の設計業務にしても、公共事業のため画一性を求められている弊害か、 一般的な構造物については構造形式から計算手法、構造細目等まで、こと細かく定められていて設計者の意図が入り込む余地が少なく、様々な決め事をどれだけ漏れなく把握し、いかに横並びで違いの無い設計計算書を作るかだけに汲汲し、決められたルール通りにできる事が設計者の優秀さとして評価されるような感じさえしてしまいます。
しかし、実はこういった仕事は 「 面白くも何とも無く、テンションもモチベーションも血圧も何にも上がんない 」訳です。
そこで最近は専ら海外の仕事に興味津々な私です。
私の会社は海外業務経験者が多いのにも関わらず私は未だ海外の仕事に従事した経験がありませんが、見聞きするところによると海外の仕事では、現地の技術基盤的条件や保守環境、経済事情等を総合的に判断した上で、かなり自分の意思を設計に反映させながら仕事ができる環境にあるようです。
また海外では私が好む土構造に対する需要が高く、活躍の場がふんだんにあるようにも思えます。

そんなこんなで、「 せこい日本には住み飽きた 」「 ♪おらこんな国嫌だ~、海外に行くだ~♪ 」とうそぶいている今日この頃の私ですが、給料が年々減る一方の昨今、せめて日本でも技術者が面白さとやり甲斐を感じられる仕事の在り方であって欲しいと願っています。